11月7日(水)太田市美術館・図書館にて、太田市女性活躍推進連続講座が行われました。第3回目となる今回のテーマは、「料理を通じて子どもの『自信』を共に育む“チーム育児”の考え方」。
講師は(株)エスキャリア・ライフエージェンシー代表取締役であり国家資格キャリアコンサルタントの城 梨沙さんと、同事業開発マネージャーであり管理栄養士の川島美由紀さんです。
おふたりともそれぞれ2児と1児のママ。働く女性のキャリア支援に並んでライフ支援の実現のため、料理を通して子どもの「自信」を共に育む「エスキッチン」事業を展開しています。
「エスキッチン」は、料理のプロが家庭を訪問して数日分の作り置きおかずをつくってくれるサービスのほか、食育サポーターが子どもと一緒に料理をつくる「お手伝いプラン」を提供。料理をすることで子どもの考える力を伸ばし、子どもの自信・自立・自己表現力を体験型で育てます。
家庭と仕事の両立のため「チーム育児」を!
城さんは言います。
「データからも明らかなように、現在は夫婦共働きの家庭が全体の半数を超えています。にもかかわらず、『家事や育児は母親が行うもの』という考えがまだ根強く、独りで頑張り過ぎているママが少なくありません。仕事・家事・子育ては『みんなでやる』のが現代のスタイル。昔の子育て感に縛られないようにしましょう」
例えば、「料理は母親がつくるもの」「保育園や学校への連絡は母親がするもの」など、ママ自身が昔の常識にとらわれていることも多いもの。「本当は自分がするべきことなのに、人にやってもらっている」と思うと、罪悪感をもってしまいます。
「チーム育児」は、第三者を巻き込んで“みんなで”育児をするという考え。時代に添った、無理のない育児形態なのです。
城さんが教えてくれたのは、「チーム育児」のための4ステップ。
まずは「働くを考える」ということ。
「産前と産後では、働く意味が変わることがあります。子どもを預けてまでしたい仕事なのか? 子どもともっと一緒にいたい……など。立場が変わったからこそ、働く意味を自分自身に問い直すのはとてもよいこと。夫婦で今後のキャリアについて話し合うことも大事です」
働くママの強い味方「チーム我が家」
ステップ2は、「チーム我が家」をつくること。
NPO法人コジカラニッポンが提唱している育児スタイルで、「ワンオペ」から「マルオペ」にバージョンアップしようというものです。
「チーム我が家」とは、ママ・パパだけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんや親戚、ファミサポなど地域のサポーター、家事代行業者、宅配サービス、ママ友や仕事仲間、保育園や学校の先生などを巻き込み、チームで家事・育児をすること。みんなの力で家事・育児を、ただこなすだけでなく、よりよいものにしていきます。
世代を超えてたくさんの人と関わることで、コミュニケーション能力が高まったり世代間交流ができたりと、子どもにもいい影響がたくさん!
また、「チーム我が家」のおもしろいところは、スケジューラーや家電などの「テクノロジー」もチームの一員としているところ。コミュニケーションを円滑にしたり、家事をできるだけ最小限にしたりしてくれます。スマホのアプリや便利な家電、食品の宅配サービスや家事代行サービスなど、使えるものはうまく使って負担を減らし、自分の時間を増やすことで、ライフを充実させることができるのです。
「ずっとこの生活をしましょう、というわけではないんです。大変なときだけ、無理をし過ぎないために頼っていい人や物を揃えておくことで、負担の軽減になります。家事に使える予算を夫婦で話し合い、決めておくとスムーズですよ」
と、城さん。
講座ではここでワークの時間をつくり、自分の「チーム我が家」を参加者のみなさんに書き出してもらいました。その後グループに分かれて情報シェア。
「○○はすごく便利」「宅配サービスはよく使っている」など、ママならではの和気あいあいとした会話がそこかしこから聞こえてきました。
円満な協力関係を築くコミュニケーションのコツ
ステップ3は、周囲と気持ちよく協力関係を築くコミュニケーション術。
「コミュニケーションのポイントは3つ。『(あなたが)これやって!』とYOUメッセージで伝えるのではなく『~やってもらえると、(わたしは)とっても助かるな~』とIメッセージで伝えること。感謝の言葉とセットにすること。それから、夫でも子どもでも、誉めることです」
と、城さん。
改めて言われると当たり前のようだけれど、日常に忙殺されて忘れがちなこの3つ。常に意識することで、協力関係が円満になりますね。
ステップ4は、子どもも育児の戦力にすること。
育児の対象である子ども自身が戦力に?という疑問の答えを、「エスキッチン」企画開発・運営全般に携わる川島さんがお話してくださいました。
子どものやる気が出る声掛けを
管理栄養士である川島さんがまず教えてくれたのは、育ち盛りのママが気になる「簡単で栄養たっぷりな食事をつくるコツ」。
バランスのいい献立のコツや、子どもと一緒にお料理ができる簡単レシピをたくさん紹介してくれました。
「料理は、国語・算数・理科・社会の勉強が詰め込まれているそう。レシピを読む、計量する、産地を知る……複合的な知識を必要とすることで、考える力もアップします。」
川島さんは言います。
「子どもがお手伝いをすることで、子ども自身へのメリットがたくさんあります。好き嫌いを克服できる、考える力や段取り力が高まるといった効果のほか、『できた!』の体験やおとなから誉められることで自己肯定感もアップ。子どもが家事に参加してくれることで、ママの負担も徐々に減っていきますよ」
なるほど、「子どもを育児の戦力に」の意味は「お手伝いをすることで家庭内における役割をもち、子ども自身の能力を高める一方でママの家事負担が減る」ということだったのです。
川島さんは続けます。
「子どもにお手伝いしてもらうには、『声かけ』がとても大事。内容やタイミングを間違えると、やる気を損ねてしまうことがあります。やる気の出る声かけのコツはふたつ。
ひとつは、『どんな音がするかな?』『ゆでたら何色になるかな?』と五感を刺激すること。もうひとつは、誉めることです。特に、『○○が上手になったね』と以前よりも成長したことを具体的に示して誉めてあげると、子どもはとっても喜んで、自信や自立、自己肯定感が育ちます」
おふたりがわたしたちに投げかけたのは、「旧態の育児環境に縛られず、自分らしい、自分たちの家族らしい両立の形を目指しましょう」ということ。
仕事もそうですが、家事も育児も、ひとりで行っていると考え方が固執してしまいがち。「チーム育児」を行うことで、いろいろな人の考え方や方法を学ぶことにもなり、自分の家事・育児もアップデートできるいい機会だと感じました。
「ママ(両親)の笑顔がいちばんの子どもへのエネルギー。一緒に頑張りましょう!」という城さんのエールが、とても頼もしく、また”ママ仲間“として嬉しくも感じた講座でした。
ライター:ento(株)銀鏡あゆみ
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